Bee フレンズ!
ミツバチと仲間たちの楽しい養蜂時間
第7回 愛知県丹羽郡 ミズケン苺 水野賢治さん
イチゴの生産直売(12年目)のかたわら、小規模な養蜂もはじめて4年目の水野さんです。
今回の「Bee フレンズ!」取材班は、イチゴ生産直売農家さんを訪ねて、桜の木が立ち並ぶ、愛知県丹羽郡へやって来ました。イチゴの直売所は、一見、可愛らしい住宅の一部に見えましたが、近寄ってみると、イチゴ特有の甘酸っぱい香りがします。ミズケン苺さんは、イチゴの生産だけでなく、養蜂も並行して行い、ご自分で採蜜をしたはちみつも販売をしています。そんな地元の人たちに愛されるミズケン苺さんにお話を伺いました。
ミツバチが手掛けるイチゴたち
■なぜ養蜂を始めようと思ったのですか?
交配用ミツバチの自然分蜂がきっかけ
平成21年の春から小さなイチゴ生産直売経営を始めました。養蜂を始めたきっかけは、イチゴ栽培に使っていた交配用ミツバチが自然分蜂するようになった事でした。ビニールハウスでイチゴを栽培するには交配用ミツバチが必要です。そのため、最初は農協さんから交配用ミツバチを購入して使っていました。
脱サラして3年目ぐらいだったと思いますが、春に交配用ミツバチの巣箱から自然分蜂が起きました。自然分蜂した蜂球を適当に作った巣箱に捕獲する事ができ、順調にミツバチが増えるようになりました。
しかし、今度は蜂が増え過ぎて困るようになってきました。春〜夏はイチゴ農家にとって最も忙しい時期でもあります。そんな時期に突然起こる自然分蜂でたびたび収穫作業が中断されて困ってしまうほど、自然分蜂が起こるようになってきました。
「春〜夏の自然分蜂をいかに防ぐか?」と考え、分蜂を防ぐには適切な知識を身に付け、巣枠で蜂を飼わないと無理だと判断し、本格的な養蜂を始める決心をしました。
ハウスの中には、自作の巣箱がありました。
ミツバチたちも元気ですね!
■養蜂をやってみて楽しさ、やりがいは?
自分で交配用ミツバチを確保できる喜び
ビニールハウスでイチゴを栽培するには交配用ミツバチが欠かせません。しかし、ミツバチはいつでもどこでも買えるモノではないですし、自分でミツバチを確保できると言うのは、イチゴ農家にとってはとても心強い事なのです。
本格的な養蜂を始めて約4年になりますが、やっと最近「蜂を飼うと言う事はどういう事か?」が分かってきた気がしています。巣枠で飼うようになって内検が可能になり、交配に使っているミツバチの状態が確認しやすくなったので、給餌や合同による蜂の補充、群の交換がスムーズに行えるようになりました。群の蜂数のコントロールもできるようになったので、過不足なくハウス内にミツバチを安定的に飛ばせるようになり、収量も上がりました。
受粉の様子を間近で見る事ができました。
ハウスの外にも巣箱が並んでいました。
■養蜂をやる上で大変なこと、苦労した点は何ですか?
イチゴとミツバチを両立させる難しさ
自然分蜂をさせないためには定期的に内検して王台を取り除く必要がありますが、イチゴが忙しいと内検が後手になってしまって自然分蜂を繰り返してしまい、何度も自然分蜂した蜂球を捕獲しなくてはならない…と言うような事態を起こしてしまいました。人工分蜂や合同も最初は失敗する割合が多かったですが、昨年あたりから何となくコツが分かってきて、成功率が上がりました。
とにかく養蜂は、『知識だけあってもできない』『やってみないとわからない』事だらけでした。やっているうちに内検の手際も良くなり、病気やダニの対処法も、養蜂4年目ぐらいの経験でやっと自信がついてきました。内検による病気の知識や、技術を身に付けないといけないと実感しております。
美味しそうなイチゴができました。
■今後の目標を教えてください!
養蜂の技も磨いていきたい
脱サラして12シーズン目の苺栽培の途中ですが、自分がイチゴ栽培を続けていけるうちは養蜂も続けていけたらと思っております。自分の体力が続く限り、地域に「ミズケン苺」と「ミズケンはちみつ」をお届けしていきたいと思っております。
養蜂を続ける上での課題は養蜂ルールをもとに「群数の適正化」です。群数、蜂数コントロールの技をさらに会得していきたいと考えております。
素敵な佇まいの直売所です。
水野さんは、「コロナ禍で趣味としての養蜂が改めて見直されると面白いかも?」と考えてみえました。養蜂には知識と技術を要しますが、ミツバチが飼える環境に住んでいれば、三密を回避して趣味としても楽しめる養蜂が可能ですよね。「養蜂愛好家がもっと増えると面白い」という水野さん。イチゴの増収にも繋げられた養蜂に、今は夢中という様子でした。これからも頑張ってください!私たちも応援しております!
2021年2月22日取材