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Bee フレンズ!

ミツバチと仲間たちの楽しい養蜂時間

第9回 岐阜県羽島市 デジックスアンドリンク(株) 安藤 功さん

ものごとへの探求心に富む人との会話は楽しい。デジックスアンドリンク株式会社の代表取締役を務める安藤功さん(52)といると、そんな気持ちにさせてくれる。大手スポーツ用品の会社勤務などで培ったビジネス経験を生かし、25年前に会社を起業。ブランドを立ち上げ、スポーツジム運営、卓球用品の製造・販売、広告企画と多彩な事業を展開するエネルギッシュな経営者です。
今年、社業のほかに突き詰めていこうと意思を固めたのが養蜂。「自分が巣箱を開けてミツバチを世話している様子が、夢に出てくる…」というほどの熱の入れよう。満面の笑みで、ミツバチへの思いを存分に語ってくれました。


自身が世話するミツバチの巣脾を見せ、笑顔を浮かべる安藤功さん

■なぜ養蜂を始めようと思ったのですか?

ブランクを経ながらも、いつもミツバチが近くに

もとをたどれば、ミツバチとのかかわりは15年前になります。社員のお父さんからニホンミツバチを分けてもらったのが最初です。群れは増えたものの、理由があって継続はできませんでした。5年ほど経ったとき、友人から養蜂を親族から引き継いだという話を聞き、「じゃ、自分も」と友人に頼み、セイヨウミツバチの養蜂を教えてもらうようになりました。去年、ようやく巣箱を置いて、ひとりで始めてみました。でも、これが完全に失敗に終わりました。ダニで群れがやられ、全滅。最後に残った1匹の女王蜂も助けられなかったことがかわいそうで仕方なく、これでは駄目だと思い、初心に立ち返ってミツバチと向き合おうと心に決めました。納得のいく環境をいろいろな側面から整え、今春から腰を据えて養蜂を開始したというわけです。振り返ると、自分はミツバチのことが忘れられなかったのだと思います。まずは、しっかりとハチを育てること。今年の目標を「育成」と定め、課題を見つけながら取り組んでいます。群れをしっかりと保ち、来年につなげていくつもりです。



蜜の入りが良い巣脾。越冬を考えると、うれしいですね。


樹々に囲まれた蜂場は、安藤さんが苦労しながら整備した。

■養蜂をやってみて楽しさ、やりがいは?

ミツバチの状態が分かると楽しくなる

ミツバチとのふれあいや養蜂ということに、これまでは好きだったけど、何となくかかわってきたという感じでした。でも、何となくでは駄目だということに気づきました。今年は意識が変わったという自覚もあり、「自分の養蜂」がこれまでで一番成長できたと思います。それを感じるのが、巣箱のふたを開けたときに、ひと目でミツバチの状態が分かるときです。ミツバチが「落ち着いているな」、逆に「ざわざわしているな」と。群れの状態を少し見れば「これならば、しっかりとした女王蜂がいるな」と目視しなくても想像ができたりします。これが飼い主なのかなあと感じます。養蜂は奥が深すぎて、とてつもなく難しいけど、やると本当に楽しいものです。




群れを全滅させた苦い体験が大きな教訓になった。「飼う者が至らないと、だめ」と
内検時には、ミツバチに真剣なまなざしを注ぐ

■養蜂をやる上で大変なこと、苦労した点は何ですか?

ミツバチにとっての良い環境を探す

 

ミツバチに最高のパフォーマンスをしてもらうには、どのような環境がふさわしいかを追求しました。しっかりと世話をするつもりでしたので、自分が内検に行ける距離に巣箱があることも重要でした。いろいろと探すなかで、河川の堤防近くの今の場所に決めました。ちょっとした林になっているため、樹々で川風を防ぐことができます。整地し、草を刈り、木も伐り、空間をつくりました。何もしなければ人も入るスペースもままならなかったので、けっこう、ハードワークでした。樹々のおかげで、木漏れ日がなんとも良い塩梅で入り、夏場には西日を和らげ、冬は暖かい。ミツバチにとっても良い環境がつくれたと思います。 あと、苦労というわけではありませんが、自分の工夫というのもあります。巣箱の内検では、ミツバチの状態の変化や、メンテナンスとして何をしてきたかの経過を把握することが重要ですが、それがひと目でわかるようにと、白地のテープを箱に張りつけて、作業のたびにメモとして手書きして記録をしています。これを見れば、女王蜂の交尾、産卵開始などのタイミングが分かります。最初はノートに書いていたのですが、どうしても書くのが内検後になるため、忘れてしまうことがあります。一度でも空白ができると、記録は意味を失せてしまいます。だったらその場で書いていけばと考えました。ミツバチの世話は、思いのほかスピード感が要ります。養蜂をしている方でしたら、こうしたことはそれぞれに自己流で行っていると思います。


取材に訪れたのは11月中旬の朝。木漏れ日が蜂場の情感も高める

巣箱に張ったテープに内検の記録が日別で記される。丸で囲った数字は総巣枚数。

7月21日、産卵を確認。うれしくて、「花丸」を描いた。安藤さんの気持ちが伝わってくる。

■今後の目標を教えてください!

ミツバチ、はちみつの魅力を伝えたい

 

近いところでは、今年は採蜜にとらわれず、育成を学びましたので、来年はそれを一つずつ着実に実践してどこまで良いハチミツが採れるかに挑みたいです。採蜜の技術は奥が深く、良い蜜を採るのはそうそう簡単ではないことは分かっていますが、がんばりたいです。それと、私の会社で運営しているスポーツジムでは、ボディビルの大会に出場する選手たちも来てくれますが、彼らはトレーニング時の糖質補給「カーボアップ」でハチミツを使ったりします。いつも彼らを私も応援していますので、自分が採ったハチミツを提供し、大会で好成績を挙げてくれたら、もう最高の喜びですね。また、生きものとしてのミツバチはかわいらしく、すごく愛情を持っているので、花粉交配などの役目と合わせ、その魅力を人々に伝えられたらと考えています。特に地元・羽島の子どもたちにミツバチを見てほしいと思います。今年は、養蜂を長く続けていこうと心に決めました。腰を据えてしっかりと取り組んでいきます。

会社が運営するスポーツジムはJBBF(日本ボディビル・フィットネス連盟)公認ジム。
マシンは外国製を含め30台以上あり、ボディビルの大きな大会に出る選手たちが集う

2021年11月取材

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